
日本では2019年10月4日公開となった「John Wick: Chapter 3 Parabellum」。本作品はジョン・ウィックシリーズの続編となり、また本作品はストーリーが途中で終わっているため完結作ではありません。2021年に第4作の公開が決まっています。
昨今CGの多用によりマンネリ化してきたアクション映画に颯爽と現れた作品であり、撮影のほとんどを主演のキアヌ・リーブスがノースタントで演じています。
ジョン・ウィックという作品を簡単にまとめた説明として、最愛の妻から残された愛犬の命をと愛車を奪われロシアンマフィアを壊滅[John Wick:Chapter 1]、
最愛の妻との思い出の家を爆破されてイタリアンマフィアを壊滅[John Wick:Chapter 2]という内容ではありますが、一度裏社会と関わってしまうと本人の是非に関わらず抜ける事が本当に難しいということを描いた作品です。
また本作品は全米で2019年5月17日に公開されていますが、当時3週連続首位独走だった「アベンジャーズ/エンドゲーム」から首位を奪取した作品です。
POINTこの記事には、映画『ジョン・ウィック:パラベラム』のネタバレが含まれていますのでご注意下さい。
John Wick: Chapter 3の話の肝になるのはハイテーブル(主席連合)。
John Wick:Chapter 2で裏社会のセイフヘイブンとなるコンチネンタル・ホテルで掟を破ったことで追われる身となったジョン・ウィック、そのジョン・ウィックを追いかける有象無象の敵キャラだけでなく、 今回ハイテーブルから派遣された人間も全て役職または記号的名称しかなく人物名は一人としてありませんでいた。
これはマフィア組織における官僚機構を強く表しており、現実社会でもその土地におけるいざこざが局部での対応を超れば、今回のように高いテーブルから裁定人が派遣されて来ることを比喩しているのでしょう。
Chapter 2から描かれた社会性というものはシリーズを追うごとに強く大きくなっており、今回の作品では裏社会のルールを決める砂漠の首領と接見しました。
アクション
今回一番目を引いたのがアクションに犬と馬を加えた部分です。
馬小屋でアクションシーンを設ける事で、敵を倒すのに馬の後ろ蹴りをアクションに加えるだけでなく、馬に乗って逃走し迫り来るバイクに対して馬上を利用して応酬するといった「馬・フー」は貴公子っぷりを体現しています。
予告編でもあった、ソフィアの犬たちと共闘する「ドック・フー」はソフィア役の「ハル・ベリー」が2匹の犬と相当訓練を積んだ様子が動画で公開されていました。ちなみに犬はシーンによって全部で5匹いたそうです。
ハル・ベリーは本格的なガンアクション映画に出演するのは初で銃器の扱いは素人だったそうです。この作品のために半年間TTIのトレーナー達と訓練をした成果は抜群に作品内に反映されています。
他にも図書館の本を使って敵を倒す「ブック・フー」ナイフを投げつける「ナイ・フー」など1、2作目とは異なるテイストの殺人手法を用いる創意工夫のたまもので目新しさを作っているので、3作目でこれだけ見飽きないといのは凄いなと。
SHINOBI
今回日本の興行で若干話題になった暗殺集団SHINOBI。
日本をイメージしたこの集団のボスであるゼロはマーク・ダカスコスが演じており、彼は日本人とアイルランド系アメリカ人の混血であるため見たはほとんどアジア人なので忍者と言われればそれっぽい感じがします。
コンチネンタル・ホテル内で、実はジョン・ウィックに憧れているという茶目っ気のあるシーンはそれまでとのギャップを見せる演技力のある芝居でした。
またマーク・ダカスコスはカンフーを習っていたこともありアクションシーンにキレがあり非常に素晴らしかったです。特にジョン・ウィックとの最終戦は刀使いだけでなく格闘技の立ち回りに見応えがありました。
ただ日本語を喋るシーンがどうしてもタドタドしい日本語で「オマエヲコロスノハオレシカイナイ」という台詞がカタカナにしか聞こえず、キルビルでもそうだったのですが日本語の発音は難しいのでしょうね。
忍者の弟子をやっていた人物が「ヤヤン・ルヒアン」と「セセプ・アリフ・ラーマン」という「ザ・レイド」シリーズに出演していた実力派アクション俳優でシラットのアクションが見事です。ジョン・ウィックをリスペクトしているという設定が役中にも生きているのが非常にいい味を出していました。
彼らはジョン・ウィックをとても尊敬していたのでジョン・ウィック殺すことをしませんでした。
その結果ジョン・ウィックも慈悲深くなることを決めトドメを刺さなかったという素晴らしい戦いでした。次回作以降登場してくれると面白いかも知れません。
この忍者の設定が寿司屋兼ニンジャなので、最初にアドジュディケーター(裁定人)が寿司屋(店の名前は平家)を訪れた際にBGMとしてかかる曲がきゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」だったのは知っていても頭が混乱する感じです(笑)。
キル・ビルを彷彿とさせる香港やタイが強めのとんでも日本感が出るのは娯楽としてむしろ楽しむところですね。
感想
やはりアクションシーンのほとんどを演者が自分で演じているので、1シーンの撮影が長く出来るため他の作品とは異なり見応えがあります。
特にコンチネンタルホテル内での銃火器戦でキアヌ・リーブスが見せた「ベネリM4」での流れるようなクアッドロードは素晴らしかったです!
キアヌ・リーブスはこれを習得するのに1ヶ月練習したそうで、キアヌは左利きですが両手で同じ事が出来るまでに習熟したそうです。いやはや凄い!
また今回は作中にやたらとコミカルな部分を加えていたのも印象的で、わかりやすい部分だとナイ・フーでのナイフの応酬とかは客席から笑いが起こっていました。
他にもウィンストンから「What you need?」と聞かれた際に映画「マトリクス」で使われていた台詞
Guns. Lots of guns.
というオマージュ的な台詞で答えているのも見どころです。
気になったのは「ジョン・ウィック vs SHINOBI」の一連のシーンでキアヌ・リーブスの立ち回りというかキレがあまり良くなかったのは、撮影していた場所が全面ガラス張りだったため、ああいう演技なのか疲労なのか老いなのかよく分からなかったところですかね。
Chapter 3 Parabellumも非常に面白い作品でした。シリーズを通してR15指定のためか日本ではあまり盛り上がっている様子がありませんがアクション映画に抵抗がない人は後悔しないので是非見て欲しい作品です。