
mixiの今期の大幅な減益予想を投資の観点から見ていきます。
個人的に業績自体は予想通りだったので、事前に売りで仕掛けていました。
▼目次
はじめに
モンスターストライク(モンスト)の運営でお馴染みmixi(ミクシィ)の決算報告会が2019年5月10日にありました。
投資対象として、国内のソーシャルゲームはオワコン方向のためゲームセクター(ゲーセク)の株をあんちょこに購入するのは得策ではありません。
業界全体の売上げが減少している中でもモンストは年間のセールスランキング1,2位が常連だったのもあり、
同じゲーセクのコロプラの決算報告が想像されていたよりまともだったた影響を受け、決算報告当日に大量に買いが走りました。
決算発表前はいつも上げがありますが、決算報告当日購入した買い方はマネーゲームでしか見ていなかったんでしょう。
温度感がわかっている人間からすると当日中に売り切らないとえらい損するぞ!と言う印象でした。
各種売上げと数字について
FY2019 財務状況
FY2019はFY2018と比較すると、
- 売上高23.8% ▼減少
- 営業利益43.3% ▼減少
- 当期純利益36.5% ▼減少
4期続けての減収減益となりました。
これに関してはモンスト売り上げが大きく下がっている事が原因です。
セルランは依然として高いものの問題は中身で、他のゲームに比べ売り上げの昨対比が
一桁多い額で悪いため他社と違い4期続けて減収減益なのは手に取るようにわかります。
大元の原因であるモンスト視点から見た減収の理由という内容もまとめています。
FY2020 業績予想
そして今期の業績予想はとてつもない大きな落ち込み予想としています。
- 売上高 1,000億円 ▼30.6%減
- 営業利益 50億円 ▼約9割減
- 当期純利益 30億円 ▼88.7%減
営業利益 9割減(88.7%)が想定内と言うのは決算資料見た際、酷過ぎて会社で吹きそうになりました(笑)。
モンストをやっているとわかるのが、イラストを削減したり版権元の音楽が使えなかったりと、あーこの会社明らかに金なくなって来たなというのが分かります。
おそらく大きく下方向の予想を出しておいて、最終的に6割程度の着地で済んだと公表したいと考えていると予測しておきます。
全盛期との比較
ミクシィの全盛期だった2016年(3年前)の業績は
- 売上2018億円
- 営業利益950億円
- 経常利益940億円
- 純利益610億円
来年2020年の会社の業績予想
- 売上1000億円
- 営業利益50億円
- 経常利益50億円
- 純利益30億円
とまあこの4年後で、まるで別会社のような散々な凋落内容になります。
全盛期は営業利益と経常利益は1000億の利益が、来年は営業利益、経常利益共に50億円となる予想になっています。
これは予想であって悪材料がまだ残っている場合、来年も今回同様業績予想を下回る可能性がります。
自社買い
数字を見る時に難しいのが、この会社は何かにつけて自社買いを行うという事です。
株価やアプリのセールスが何故か上がっている局面があり、上手くレーティングを誤魔化しているので、会社の主となっている事業内容を理解せずレンジや指数だけで見るとかなり痛い目を見るでしょう。
決算報告会で使われた自社ブーストという謎の単語もこれが含まれていると思います。
株価収益率 PER
PER(株価収益率)は6.7倍→59.1倍
PER6倍という超低PERだから落ち目でもファンダ派に支えられていましたが、
一気にPER約60倍の低成長超割高株になってしまいました。
今後成長するであろうベンチャー企業のPER60倍なら購入視野ですが、
4期続けての減収減益でさらに利益が8,9割減る見通しでPER60倍になったと言うのはとんでもない無能の集まりです。
今後の方針について
エンターテインメント事業は相変わらずモンスト一本足で擦っていく事になります。
ゲームがコアユーザー向けになり、ライトユーザーの消費意欲が低下しているという見立てなので、
仲間とワイワイ共闘することによる興奮というモンスターストライク本来の価値に原点回帰し、ライトユーザーも楽しめるゲームに立ち返るとしていますが、
そもそも延命措置は出来ても全盛期への回帰はどうやっても不可能です。
原点回帰という言葉を使ったものが原点回帰出来た例は極めて少なく、
実際は薄く延命していく施策を続けていく事になるでしょう。
また次回作品のリリース目処がスカスカなのもヤバイです。
2019年中リリース予定はモバイルボールしかありませんが、このゲームもリリースが延期しています。
炎上していれば開発の人間を引き抜いてプロジェクト進行している可能性は高いです。
自社の屋台骨に力を入れなければ売上げが出ないのは明確で、これはメルカリの決算が実証してくれています。
もう一つ注力し始めたスポーツ事業ですが、競輪のオンライン市場に注力していくそうです。
社長である木村弘毅氏は「プロスポーツ経営、公営競技の双方でM&Aをてこにした早期の収益貢献をしていく」といっていましたが、
スポーツ事業は完全なレッドオーシャンのため、潤沢な資金を活かしきれず無能な施策を考えてる限り先行きは厳しいでしょう。
特に木村弘毅のtwitterでもつぶやいていますが、スポーツ事業の投資方向が彼の趣味というのが事業方向性としてカスだなと言わざるを得ません。
事業内容がガチャとロトという時点で前向きな投資対象としては見ていませんが。
また高配当に釣られる買い方が、もう一発ゲームを当てればなどと勘違いしていますが、このゲームを作ったのは当時の外注さん達であり社員ではありません。
コストカットで外注を削減し無能な社員を増やした結果どうにもならない状態まできました。
つまり同じ会社であっても現体制は1発も当てていないため次の球には繋がりません。
配当金について
配当はFY2019は予想どおり120円でしたが、
FY2020の年間配当金はDOE(株主資本配当率)5%を基準に110円を見込みとしています。
実際問題、会社に現金及び現金同等物が3月末で1440億円ある事や、
減益といっても売り上げが50億もあるため、いきなり配当が無くなったりすることはないでしょう。
1440億あれば全社員が毎日休んだとしても10年は潰れません。
ただしあくまで見込みのため、どこかで減額される可能性の方が高いでしょう。
配当金が極端に下がらないのはストップ安対策と言うのもあるでしょうが、
この会社の会長である笠原健治が株の43.5%を保有しているため、なにがしかの忖度があるのではないでしょうか。
EPS(1株当たり利益)は39.81円といったところ。
個人的に上がる要素の無い株をこの程度の配当金で購入するのはおすすめしませんが。
まとめ
- 前期FY2019の利益はほぼコンセンサスどおりで4期続けての減収減益
- 今期営業利益 約9割減の予想
- 自己株取得はしない方針
- 分配金は減少
- モンスト派生ゲーム1つは延期、1つは開発中止でモンスト一本を継続
という感じで完全に会社としてオワコンになり、ゲームとしてもオワスト待った無しといって差し支え無いでしょう。
減収額がとんでもなく巨大なのは1つの事業に依存し過ぎているからに他なりません。
この会社は1つが当たるとそれだけをやり続ける傾向にあるため、次なる柱となる新規収益源に目処が立つまで株価は下がり続けると予想できます。
そして新たな柱が出来るのは大体10年スパンぐらいのため向こう数年は期待できない会社のままでしょう。